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JE Compass

2026-07-17

「HP制作」を売っている限り、案件は獲れない|ウェブ制作者のための営業・マーケティング論

営業マーケティングフリーランスウェブ制作

はじめに

点の情報はAIでも答えられます。でも、線の話は経験した人からしか聞けません。

営業の方法論やマーケティングの定義なら、検索すればいくらでも出てきます。ここで書くのは、そういう「点」の情報ではなく、10年ウェブ制作を続けてきた中で実際に起きたことを繋いだ「線」の話です。一度も飛び込み営業をせずに案件を獲り続けてきた、その理由を整理してみます。

なぜ案件が獲れないのか──ハマりがちな2つの罠

案件が獲れなくてしんどい、という人は多いです。でもそれは、たいていスキルの問題ではありません。しんどいのに獲れないのは、頑張る方向がそもそもズレているだけのことがほとんどです。

多くの人がハマる罠は2つあります。ひとつは、営業を「飛び込み・コンペ・クラウドソーシングでの消耗戦」だと思い込んでいること。もうひとつは、自分が「HP制作」を売っていると思い込んでいることです。特に後者は、この先の話すべての起点になります。

あなたは"何屋"か──マーケティングの再定義

マーケティングとは、何か特別な集客テクニックのことではありません。「待っていても仕事が来る状態」を作ることと、「自分が何を・誰に売るのか」を決めること。この2つです。そしてこれは、この後の営業の話ともつながっています。

HPの罠

HP制作の案件が獲れない人は、たいてい「HPを売ろう」としすぎています。

客が欲しいのはHPじゃない。集客であり、売上なんです。HPはただの手段。

クライアントが本当に欲しいのは集客であり、ブランディングであり、売上です。HPはそのための手段のひとつでしかありません。ここが分かっていないと、いつまで経っても案件は獲れません。

手段はHPだけじゃない

提供できる手段は、HP制作やリニューアルだけではありません。SNS運用、LINE公式アカウント運用、ウェブマーケティング支援など、ウェブ周りで力になれることは他にもたくさんあります。

クライアントの側は「HP制作かリニューアルくらいしか思いつかない」ということも多いものです。だからこそ、こちらから提案の幅を広げられます。実際、そういう提案を求められている場面は少なくありません。

本質的ベネフィットを決める

自分は何を売っているのか。つまり、自分のウェブ制作の本質的なベネフィットは何か。これを決めることが、すべての起点になります。

ここは、提案やデザインの質そのものが武器になる場面でもあります。「こんなものが作れます」と、JapanElementsのプロ級テンプレートを見せるだけで、提案の説得力が変わることがあります。押し売りする必要はなく、その程度で十分です。

接点は"営業"しなくても生まれる

副業を始めた頃、コワーキングスペースで働いていました。会員にはウェブ関連の起業家や、他分野で起業した人が多く、手伝ったり依頼されたりする関係が自然に生まれていきました。ウェブができる人は、実は身近には意外といません。知っているというだけで相談が増えていきます。

会員からの紹介で制作会社の業務委託に繋がり、そこから独立。業務委託が終わった後は、ストアカでのWordPress相談から改修や新規案件が生まれ、今も続くクライアントがいます。フリーの営業担当とタッグを組んだこともあります。

好きで関わった先に生まれる接点

すべての接点が、営業目的で作られたわけではありません。YouTubeで見た愛知の僧侶の動画がきっかけでファンになり、そのお寺の毎年のお祭りにボランティアとして参加するようになりました。その接点から、数年間ウェブサイトやシステム開発を手伝うことになりました。

接点は、営業しようとして作るものだけではありません。好きで関わった先に、自然と生まれることもあります。

一度も飛び込み営業をしていない

僕は一度も飛び込み営業をしていない。全部、接点から生まれてます。

振り返ってみると、案件はすべて何らかの「接点」から生まれています。飛び込み営業は一度もしたことがありません。

誰でも接点は作れる

「コワーキングにいたからでしょ」「自分には人脈がないから無理」と思う人もいるかもしれません。でも本質はコワーキングという場所そのものではありません。客がいる場所の近くに身を置き、"相談できる人"として見つけてもらえる状態を作ること。それが本質です。

ストアカはその再現版です。人脈がゼロでも、今日から始められます。

接点を"育てる"という仕事

接点を作ることと同じくらい、作った接点を育てることも大事です。飛び込み営業が要らなくなるのは、この「育てる」ができているからです。

断らない、の真意

どんな案件も、基本的には断らずにやってきました。それは「いい人だから」ではありません。

打ちたい球だけ待ってても、その球は来ない。要求はいつも自分のハードルを超えてくる。だから成長できる。

打ちたい球だけを待っていても、その球はなかなか来ません。クライアントの要求は、常に自分のハードルを少し超えてきます。それに応え続けるからこそ、成長できるのです。

ただし、ここは正直に書いておきます。「断らない」は諸刃の剣です。無茶振りや割に合わない仕事、グレーゾーンの案件に関わったこともありますし、トラブルもありました。手放しでおすすめできるものではありません。

できればいいクライアントと出会って、いい仕事をしてほしい。

これは何度でも書いておきたいことです。「要求に応えるから成長する」という本質は本当ですが、だからといって無理な案件に無理して関わることを勧めているわけではありません。

客が本当に欲しいのは「安心感」

クライアントがウェブのリテラシーを高く持っていないからこそ、求めているのは「安心して任せられる人」であることが多いです。だから、「実績がないですがやらせてください」というようなへりくだりすぎた姿勢は、むしろ逆効果になります。

クライアントが求めているのは、安心して任せられる相手です。

自信過剰になる必要はありません。ただ、はったりでも堂々とヒアリングする。やったことがない内容でも「技術的には可能です、細かいところは調べながら進めます」で受ける。そうやって進めてきました。もちろん、ヤバい客からは全力で逃げていい、という点は「諸刃の剣」の話と同じです。

他のサイトでできていることは、自分でも頑張れば大体できるようになります。クライアントが「こんなサイトにしたい」と参考サイトを持ってきても、大体なんとかなるものです。今はAIもあり、実装のコストも下がっています。断らずに要求へ応えていくことが、そのまま成長につながっていきます。

実際、JapanElementsのプロダクトもクライアントの要望をもとに作られてきたものが多くあります。自分での実装が大変なときは、JapanElementsのようなプロダクトに頼るというのも、十分にありな立ち回りです。

誠実にやりきる、クオリティで返す

修正が増えても、途中で飛ばない。多くの人はここで飛んでしまいますが、やりきるだけで差がつきます。そうやって応え続けているうちに、対応の幅もデザインの質も自然と上がっていきます。

対応の幅やデザインの引き出しとして、JapanElementsのテンプレートを見せられるようにしておくと、提案の説得力も自然に上がります。

信頼は長期と紹介に育つ

一度「信頼できる人」だと認識されると、次の依頼もその人に来やすくなりますし、紹介にも繋がりやすくなります。途中で飛んでしまう人や、不誠実な対応をする人もいる中で(もちろん、飛ぶ側にもそれぞれ事情はあります。モンスター案件だったなら、その気持ちも分かります)、一度いい仕事をすると、そこから長い付き合いになることがよくあります。

事業者同士では、「どこで作ってもらったん」「吉積さんやで」という会話が自然に広がっていきます。これは新規獲得のためのマーケティングの結果ではなく、接点を育てた結果です。1件の仕事が次を呼び、やがて営業をしなくてよくなります。

まとめ:あなたに聞きたい2つの問い

ここまでの話は、結局2つの問いに集約されます。

  1. あなたは何屋で、誰の何を解決するのか
  2. その人たちにどこで会えるか、どんな接点を作れるか

この2つを考え直すだけで、案件の獲り方は変わってきます。裏テーマを一言で言うなら、「待ちの姿勢を捨てろ」。打ちたい球を待つのではなく、HPだけを売ろうとするのでもなく、飛んできた球を打つこと。

まずはこの視点で、自分の今の状況を見直してみてください。


飛び込み営業はしていない。もらったチャンスを潰さなかっただけ。